毒親から逃げる方法 〜住民票の閲覧制限のかけ方〜



毒親から逃げるには『どこに住んでいるかわからない』ことが絶対条件だと思います。

ですが、完全に居所を隠すことはできません。

できるだけわかりにくくして逃げることは可能です。

そのためには『住民票の閲覧制限』が必要です。

この記事では、『住民票の閲覧制限』をかける手順について、私の経験も踏まえて説明したいと思います。



閲覧制限をかけるには警察署に行ってから役所に届け出る必要があります。

毒親から逃げる場合はかなり遠方への引っ越しも想定されます。

遠方の場合、その度に引っ越し先へ行くのは難しいと思いますので、その場合の方法もご紹介します。


住民票の閲覧制限の必要性

私は過去に、親に連絡をせずに引っ越しをしたことがあります。

その当時はまだ、毒親に対する世間の認識が今ほど進んでいなく、住民票の閲覧制限も「刑事事件になった案件じゃないと」と警察に言われる程度でした。

だから、わざわざ親に引っ越しをするとは伝えていませんが、新居の住所を隠す方法がありませんでした。

引っ越して数年後に、『個人情報開示請求』を行いました。

引っ越しの約1年後に、母親が住民表と戸籍の附票を取得していることがわかりました。

母親が書類を取得した頃は母親の吐き出しようにと携帯は繋がりましたし、電話には対応していましたが、直接住所を聞かれたことは一度もありませんでした。

私の母親は過去の職歴などの影響もあり、この程度のことは調べなくてもできますが、最近は60代70代の方も当たり前にインターネットを使う時代です。

少し調べればこの程度の事はできるでしょう。

費用も数百円程度でできてしまいます。

戸籍・住民票関係の書類は直系の親族なら、委任状も必要なく取得可能です。別居していてもです。

なので、毒親にバレたくないのであれば毒親が知らないうちに住民票を取得していたという事がないように『住民票の閲覧制限』は絶対条件です。

住民票の閲覧制限(支援措置)とは

平成24年10月1日の法改正から、いわゆる『毒親』も住民票の閲覧制限の対象となりました。

住民票の閲覧制限の対象は

  (1) DV被害者

  (2) ストーカー被害者

  (3) 虐待被害者(未成年)

  (4) その他(1)から(3)までに掲げる方に準ずる方

となっています。この(4)が毒親育ちになります。

私が相談した警察では、現在成人している場合は、未成年のうちに虐待があっても(3)には該当せず、現在親に脅かされる状況が続いているかどうかで判断するとのことでした。

そのため、該当する場合は(4)になります。

住民票の閲覧制限を利用して毒親に取得されなくなるのは、住民票と戸籍の附票です。

戸籍謄本などは対象ではありません。

住所地に関する書類のみです。

結婚していたり、子供がいる場合は一緒に住む全員を同時に閲覧制限の対象にすることができます。

また、誤解されている場合が多いですが、引っ越しと同時に閲覧制限をかけるため、引っ越し先の住所からしか閲覧制限の対象にならないと思われている事が多いです。

実際には、引っ越しと同時に閲覧制限をかけると、引っ越し前の住所(=現在の住所)から対象になります。

それは住民票も戸籍の附票も同様です。

引っ越し前の住所が含まれるものからが対象になります。

新しい住所からしか対象にならないという誤解が多いために、よくダミーの住所を挟む事が必要だと言われています。

引っ越し前の住所から対象になればダミー住所を挟むことなく引っ越しをしても、追跡されにくさには変わりがありません



また、お子さんがいる場合は引っ越しの時に市町村を跨ぐ度に、児童手当の手続きが必要になります。

その他にも、免許証などその都度住所変更しておく必要があるものもあります。

ダミー住所を挟む分その手間が増えます。

だからと言って、追跡されにくさが変わらないので、ダミーの住所を挟む必要はないと思います。


  制度についてはこちら DV等支援措置(総務省)

住民票の閲覧制限をかける手順

大まかな手順は次の通りです。

  1. 分籍する(独身など親の戸籍に入っている人)
  2. 市区町村の相談窓口に相談実績をつくる
  3. 引っ越し先を決める
  4. 市区町村の相談窓口から警察署への相談予約を取ってもらう
  5. 警察署へ行って相談する。支援措置申込書に証明してもらう
  6. 転出届の提出・仮制限
  7. 引っ越しをする
  8. 転入手続きをする・支援措置申込


住民票の閲覧制限が必要かの判断は警察が行います。

警察が必要であると証明してくれた後に市区町村で手続きを行うことになります。


 1.分籍する(独身など親の戸籍に入っている人)    

今まで一度も結婚していない人、分籍手続きをしていない人は親と同じ戸籍に入っていると思います。

この場合はまず、分籍の手続きをします。

分籍することにより、親と別の戸籍ができます。

分籍の手続きは成人していれば誰でも可能です。

今の本籍地の役所で手続きしてください。


本籍地は住んだことがない住所地などでも可能です。

実家の住所でも構いませんし、現在一人暮らしをしている住所など、どこでもいいです。

ただし、戸籍謄本は閲覧制限の対象ではないため、新居の住所にはしないでください。

また、新居の住所に近いところも避けた方がいいでしょう。

ディズニーランドやスカイツリーなどにする人もいますので、ダミーを使いたいというのであればそういったスポットもいいかもしれません。


念の為であれば、一度実家や現住所で除籍してから、有名スポットに転籍するという方法もあります。

ただ、戸籍(戸籍謄本・戸籍抄本)に関しては、閲覧制限の対象にはなりません。

つまり、現住所と同じところにおかない=居所がばれないところで手を打つしかありません。

生きているか、結婚したか、子供がいるかなどは把握されてしまします。

正直気に入らないですが、現在の制度ではあきらめるしかありません。



 2.市区町村の相談窓口に相談実績をつくる  

住民票の閲覧制限の対象に毒親被害者が加えられて10年近く経ちますが、まだまだ知らない人が多いのが現実です。

住民票の閲覧制限の必要性について判断するのは警察で、そこで証明がないと始まりません。

ですが、毒親についての知識があるかというと担当者や地域によってかなり差があります。

そこで一度、市町村の相談窓口に相談しておくことをオススメします。

毒親が対象になりそうな相談窓口はほとんどありません。

毒親よりはDVやストーカーの方が社会的に認知されていて、こういった相談窓口の方は理解もあり、逃し方の知識もある方が多いです。

毒親から逃げる方法もDVやストーカーの場合と似ているので、DVやストーカーを担当している市町村の相談窓口を利用してください。

実際に私は市町村の女性相談窓口(主にDV被害者の相談窓口)に相談することから始めました。

今まで、警察には何度か相談したけれど門前払いだったのが、相談窓口経由だとこんなにも違う対応なのかと感動しました。

毒親の行動についてもスムーズに理解してくれて、警察へ予約や事前説明をしてもらえました。

そのおかげで、警察での対応も最初から証明をすることが決まっているような対応をされているように感じました。

また、子供がいる場合は、教育委員会への連絡なども最低限で済むように連携してくれます。


 3.引っ越し先を決める  

住民票の閲覧制限をかけるためには、見られなくする住所を相手に知られていないことが条件になります。

現在の住所が毒親に知られている、または、知られている可能性がある場合は、知られていない新居に新たに引っ越しをする時に住民票の閲覧制限をかけることになります。

閲覧制限がかかるのは、現在の住所と引っ越し先の住所になります。

住民票は現在の住民票から、戸籍の附票は現在の住所を含む分から、閲覧制限の対象となります。

そのため、ダミーの住所を経由しても、ばれにくさは変わりません。

ほとんどの場合は引っ越しをする必要があり、引っ越し先へ転入する時に初めて2箇所の住所に閲覧制限をかけられます。

まず、新居を決めましょう。


 4.市区町村の相談窓口から警察署への相談予約を取ってもらう  

引っ越し先が決まったら、相談しておいた市町村の相談窓口に引っ越しが決まったことと引っ越し日を伝えましょう。

相談窓口から警察署へ予約を取ってくれます。

相談窓口経由で予約を取ることで、普段から相談窓口と連携を取っている、この方面に詳しい警察の方が対応してくれます。


警察署は新しい住所の管轄の警察署に行くのが基本です。

遠方で難しい場合は、その旨を伝えると、現住所の管轄の警察署で対応してくれます。


実際に警察へ行く前に、相談窓口または役所で『住民基本台帳事務における支援措置申出書』という用紙をもらっておきましょう。

警察には『住民基本台帳事務における支援措置申出書』はないので、役所でもらっておいたものを持参することになります。

役所(用紙をもらう)→警察署(申込書に証明してもらう)→役所(申し込み)になります。



役所によって、警察で『住民基本台帳事務における支援措置申出書』をもらってから、何日以内に転出届を出すように言われる場合があります。

私の場合は、概ね1ヶ月以内と言われました。

『住民基本台帳事務における支援措置申出書』をもって転出届を提出すると、現在の住所の住民票・戸籍の附票の閲覧に仮制限がかけられます。

この仮制限は1週間で切れるため、1週間以内に新たな住所で転入届を出す必要があります。(市町村により期間は異なる可能性があります)

仮制限が途中で切れてしまうと、転出済みの住民票を取得される可能性があります。

引っ越し先がバレなくても、引っ越すことがバレるだけで引っ越しの妨害をされるかもしれません。

なので、普通、転入届は引越しをする前後14日間の間でいいですが、今回の場合は、前の住所の仮制限が切れないようにするため、転出届を出してから1週間以内に転入手続きを終わらせる必要があります。

そのため、警察の予約を取る場合には、引っ越し日または転入手続きにいける日から逆算して予約日を決めてください。

 例:転入手続き(12/7)→ 引っ越し(12/3)→ 転出手続き(12/2) → 警察署(11/20)


 5.警察署へ行って相談する。支援措置申込書に証明してもらう  

『住民基本台帳事務における支援措置申出書』を持っていきます。

警察では調書作成し、『住民基本台帳事務における支援措置申出書』に証明をもらいます。

調書作成のため、毒親について聞き取りが行われます。

私の場合は

  • 児童相談所に保護歴があること(その内容も詳しく)
  • 嫌がらせ目的の来訪
  • 夫との不仲を期待するなりすましの嫌がらせメール
  • 職場の同僚への嫌がらせ行為
  • 親の親戚間トラブル
  • 今後の行動の予測ができないため危険があること

などを伝えました。

私の母親は、基本は精神的な支配型です。

これは私個人的な感覚ですが、やはり身体的虐待に近い出来事のほうが、第三者からの理解を得やすい印象があります。

警察でも身体的や金銭的影響を受けたエピソードを話す方が支援措置が必要だとの印象付けは強いと思います。

また、住民票の閲覧制限という制度は、今後の危険を回避するためのものです。

なので、今後の危険性を伝えるように意識してください。


 6.転出届の提出・仮制限  

『住民基本台帳事務における支援措置申出書』を持っていきます。

新住所では住民票の閲覧制限をかける予定だと伝えます。

これで、1週間は住民票の閲覧制限が仮でかけられます。

新住所に転入届を提出すると、旧住所にも仮ではなく正式に閲覧制限がかけられます。


転出届には新しい住所を記入する欄があります。

これは念の為ですが、ここには新居と全く違う住所を書きます。


 7.引っ越しをする  

引っ越しはできるだけ誰にも伝えずに行ってください。

今の自宅が賃貸の場合、退去の時に管理会社に新しい住所を聞かれる場合があります。

この場合も住所はダミーを、電話番号だけ繋がるものを伝えておく方がいいでしょう。


 8.転入手続きをする・支援措置申込  

旧住所の閲覧制限の仮制限に有効期限があります。

その期限内には済ませるようにしましょう。

転入手続きと同時に住民票の閲覧制限の申請を行ます。

『住民基本台帳事務における支援措置申出書』を持って転入手続きに行ってください。


転出時に違う住所を記入していますが、転入手続きと同時に訂正処理をしてもらえますので、特に問題はありません。



長距離の引っ越しで事前に警察署にいけない人

毒親から逃げるための引っ越しなので、ある程度距離のあるところへ引っ越すという人も多いでしょう。

遠方への引っ越しの場合、新しい住所の管轄の警察署に出向くことが難しい場合もあります。

私もそうだったので、次のやり方をしました。

これは相談窓口の方が間に入ってくださったからできたことだと思います。

遠方への引っ越しの方は特に、相談窓口を利用することをオススメします。


遠方への引っ越しの場合に一番問題なのは、事前に警察署に行くことだと思います。

そこで、引っ越し前の住所の管轄の警察署で『住民基本台帳事務における支援措置申出書』に証明してもらいます。

さらに、大型連休を挟んだ引っ越しだったため、仮の閲覧制限が切れてしまう可能性があったので、事前に警察署に行った時は

  • 調書を作ってもらう。
  • 『住民基本台帳事務における支援措置申出書』と返信用封筒を預ける

というようにしてもらいました。

後日、警察署に依頼し、郵送で『住民基本台帳事務における支援措置申出書』をもらい、転出届も郵送で行ました。

転入手続きの時は、前の住所地で相談をして『住民基本台帳事務における支援措置申出書』をもらってきていることを伝えます。

役所によって対応が分かれるかと思いますが、

①前の住所地でもらった『住民基本台帳事務における支援措置申出書』をそのまま役所で通してもらえます。

②前の住所地でもらった『住民基本台帳事務における支援措置申出書』を持って、新しい住所地の警察署へ行くように言われます。

 持っている『住民基本台帳事務における支援措置申出書』をもとに、新しく『住民基本台帳事務における支援措置申出書』作成してもえます。

 役所で住民票の閲覧申請の手続きをとります。

このどちらかで対応してもらえます。

②の場合どちらにしろ、新しい住所地で警察署に行くなら同じだと思われるかもしれませんが、どの担当者でも『住民基本台帳事務における支援措置申出書』の証明がもらえる補償はありません。

どこかの警察署で一度でも証明されていれば、次も証明されやすくなります。

①になるか②になるかは行った先の役所次第です。

もしかすれば①で済むかもしれないのであれば、閲覧制限をかけられないという最悪の事態を避けるため、私はこの方法をとりました。

私の場合はこの辺りも、事前に相談をした市区町村の女性相談窓口で段取りをしてもらえました。



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